メルペイ、消費と支払手段に関する調査を実施
若年層を中心に、約3人に1人が後払い決済サービスを利用
支払いをあとからコントロールする「フレキシブル消費」が背景に
〜 20〜30代の半数以上は、30分以内にモノ・サービスの購入を決断
それゆえ支払いの管理への課題感が高く、利用状況を把握したいニーズが明らかに 〜
株式会社メルペイは、18〜59歳の男女計800名を対象に「消費と支払手段に関する調査」を実施いたしました。
昨今、コロナ禍のEC化伸長や、SNSやフリマサービスの利用拡大により消費行動にも変化が生じてきています。こうした変化にともない、支払手段も多様化しており、従来のクレジットカード等に加え、国内外でBNPL(Buy Now, Pay Later)・後払い決済サービスと呼ばれる新しい支払手段の利用が拡大しています。今後の国内の後払い決済サービス市場は、2020年度の8,820億円(見込)から、24年度には1兆8,800億円にまで拡大※し、年平均成長率20%超と大きく成長することが予測されています。
※:矢野経済研究所「オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測2021年版」
メルペイにおいては、後払い決済サービスとして「メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)」を提供しており、20〜30代を中心に幅広い世代に利用いただいています。利用者の約半数が支払いに「メルカリ」の売上金を利用いただいており、さらに利用上限金額を設定されているお客さまも約6割いらっしゃるなど、利用と支払いの管理のしやすさに好評いただいています。
今回、こういった後払い決済サービス市場と利用の拡がりを受け、20〜30代の消費傾向から紐解く「消費と支払手段の実態」に関して、クレジットカードや後払い決済サービスの利用状況の調査を実施いたしました。
本調査結果から、20~30代の生活者はSNS等を見て「欲しいと思った商品はイマすぐ購入する」傾向が高い一方、後払い決済サービスの利用状況との関係では、後払い決済サービス利用者は家計や支払いの管理に対する意識が非利用者に比べて高いことがわかりました。このことから、後払い決済サービス利用拡大の背景に、"イマ購入したい"という消費傾向と、支払いをあとからコントロールする「フレキシブル消費」の存在がうかがえる結果となりました。
【結果サマリー】 1)後払い決済サービスの利用実態
2)20〜30代における「消費と支払手段」の考え方
3)後払い決済サービス利用者の特性
|
【調査概要】 |
世代・トレンド評論家 牛窪 恵(うしくぼめぐみ)氏
- プロフィール
世代・トレンド評論家。マーケティング会社・インフィニティ代表取締役。立教大学大学院・客員教授(消費者行動論)。
立教大学大学院にて、修士(経営管理学/MBA)取得。財務省財政制度等審議会専門委員。トレンドやマーケティング関連の著書多数。「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされる。NHK総合「所さん!大変ですよ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、毎日放送「よんチャンTV」などで、レギュラーコメンテーター等としても活躍。テレビ番組出演や数多くのマーケティング関連の著書を通じ、「おひとりさま」 「草食系」をはじめとした流行語を世に広めた。近著は、コロナ禍でZ世代の若者 を分析した「若者たちのニューノーマル」(日経BP) - コメント
コロナ禍で、日常的にECサイトやフリマアプリを使う人が増えたのは、周知の通り。そんな中、今回の調査では、20~30代の若者の約7割(67.2%)がモノやサービスを「自分が欲しいと感じるときに購入する」ことや、なんと同半数以上(54.4%)が「30分以内に購入を決断する」ことも分かりました。
スピーディな決断の背景には、SNSの影響や、彼らを中心とした「タムパ(タイムパフォーマンス/時間対効果)」志向があるでしょう。興味ある情報に、リアルの口コミや「ググる(ブラウザ検索)」より遥かに速くたどり着けるSNSは、「ググるより『タグる』(SNSのハッシュタグ登録で検索する)」行動を促し、購入までのスピードを高めます。
一方で、彼らは物心ついたときからずっと不況の時代を生きてきた世代。多くは堅実に貯金するほか、衝動買いなどでお金を使い過ぎないよう、スマホで常に収支をチェックしています。買い物や月々の支払いも、スマホを見ながら、「今月はいくらまで(に留めよう)」や「今月はこの日に(支払おう)」など、自分なりにフレキシブルに考える傾向が強い。現代の消費者は若者を中心に、こうした「フレキシブル消費」が顕著なのです。
今回の調査では「後払い決済サービス」の利用が、20代で4割弱(35.6%)にも及びました。後払い決済サービスでは「手数料」がかかることもありますが、タムパ重視の若い世代は「手数料=フレキシブル消費を可能にする必要コスト」と捉える傾向もあります。また、アプリで管理できる後払い決済サービスの多くは、支払いタイミングを選べるうえ、月々の収支をクレジットカードのサイトより素早く、すなわちワンタッチで把握できる点も魅力のようです。
■調査結果詳細
1)後払い決済サービスの利用実態
- 全体の約3人に1人(31.1%)は、後払い決済サービスの利用経験がある。特に若年層ほど利用率が高くなる傾向があり、20代35.6%、30代33.8%、40代30.0%、50代16.9%が利用している。
直近1年間を振り返って、後払い決済サービスを利用したことがある人は31.1%で、約3人に1人が利用したことがあることがわかりました。20〜50代の幅広い世代で利用されていますが、とくに20〜40代は30%以上となり、若年層になればなるほど利用率が上がっています。
- 後払い決済サービスの平均月間利用金額は、この半年間で増加傾向にある。
後払い決済サービス利用者の平均月間利用金額は、2021年3月から9月にかけて「1万円未満」が9.0%減少、「1万円以上3万円未満」「3万円以上5万円未満」「5万円以上10万円未満」では全てにおいて増加傾向にありました。直近半年間で、後払い決済サービスの平均月間利用金額が増加傾向にあることがわかります。
※ メルペイ/後払い決済サービスに関する実態調査(2021年3月)https://jp.merpay.com/news/2021/03/bnpl_survey/
- 後払い決済サービス利用者のうち、70.3%はクレジットカードを保有している。
従来利用されてきた支払手段であるクレジットカードと新しい支払手段である後払い決済サービスの利用状況を確認したところ、後払い決済サービスを利用する方の70.3%はクレジットカードも保有していることがわかりました。
2)20〜30代における消費と支払手段の考え方
- 半数以上(54.4%)が「モノ・サービス(3,000円未満)の購入を決断するまでの時間」について、「30分以内」と回答。また、約4人に1人(22.8%)は「5分以内」を選択している。
- 購入シーンでは、「自分が欲しいと感じる時に購入」(67.2%)する考えをもつ。
理由としては、「いち早く利用したいから」(42.8%)「時間が経つと欲しいものが購入できなくなるかもしれないから」(40.5%)と、"イマ購入したい"という時間軸を意識した回答が上位になった。
- 欲しいモノやサービスと「SNS」で出会うと答えた割合は、40〜50代21.6%に対して20〜30代49.4%と2倍以上の差がある。
欲しいモノやサービスを「SNS」「ECサイト」「ネット上のフリーマーケット/オークション」で探す理由としては、「いつでも探すことができるから」(60.2%)「モノ・サービスの種類が豊富だから」(53.0%)という回答が上位となり、オンライン上の情報が購買行動を喚起していることが明らかに。
若者層においてはSNSやECサイト、フリマアプリなどを通じて、日頃からオンライン上で買い物体験をしていることが顕著に表れています。情報が豊富でいつでも探せて購入できることが選ばれる理由としてわかりました。
- 支払手段の利用状況について、クレジットカードの利用においては、20〜30代後払い決済サービス利用者の約半数(49.5%)が「ついお金を使いすぎてしまう」、約4人に1人(24.3%)が「利用金額を把握しにくい」点を回答しており、支払いの管理に関する課題感が浮き彫りとなった。一方で、後払い決済サービスを利用する理由として、6割(60.9%)の利用者が「支払うタイミングを調整できるから」、約3人に1人が「利用金額を把握しやすいから」(34.8%)「支払いの見通しを立てやすいから」(30.4%)と、利用と支払いの管理がしやすい点をメリットとして挙げている。
3)後払い決済サービス利用者の特性
- 後払い決済サービス利用者の約4割(39.8%)が、購入したいモノの金額がその月に使ってもよいと思える金額を超えていたとしても、それを欲しいと感じた時に購入している。理由としては、「収支の把握をきちんとできている自信がある」「支払いの見通しが立っている」が上位に。
- 後払い決済サービスを利用している理由としては、「支払うタイミングを調整できるから」(54.0%)「利用金額を把握しやすいから」(32.0%)「支払いの見通しを立てやすいから」(26.0%)が上位に入っており、利用と支払いの管理がしやすい後払い決済サービスを活用することで、欲しいと感じた時の購入を可能にしていると考えられる。
- 後払い決済サービス利用者の71.4%が、普段の家計管理において「家計簿やノートに記録している」「スマホアプリを利用している」など、収支を把握する工夫を試みている。非利用者に比べて16.4%高く、家計管理の意向が高い層が後払い決済サービスを利用していることが考えられる。
普段の家計管理で「家計簿やノートに記録している」「スマホアプリを利用している」など収支を把握するための工夫を行っている割合は、後払い決済サービス利用者が71.4%と、非利用者の55.0%に比べて16.4%高いことがわかりました。このことから、後払い決済サービス利用者は、元から家計管理をしたい意向が強いことが考えられます。